黄昏時に通る道
雨はまだ降ってはいなかった。
自転車に乗って、桃畑と工場の間の道を通り、仕事その2に向かった。
工場も桃畑もかなり延々と続く。
途中、工場から終業を告げる音楽が聞こえてきた。グリーンスリーブスだった。なんともいえない哀愁を帯びて私の耳に届いた。
工場からはまだ誰も出てこなかった。
そのうち蝉たちも鳴き始めた。ジジジジという非常に地味な鳴き声だった。まるで音楽に合わせているようにわびしく響いていた。
桃畑の桃は、まだ色づかず青くて小さいままだった。
夕闇が迫ってきていた。雨もパラパラ降り出した。
なんだか無性に心細くなってきて、私は自転車をこぐ足を速めたのだった。
なんとなく黄昏時には通りたくない道かもしれない。
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